Loading...

みる・きく・はなす ことばのミュージアムLoading...

記事 | ARTICLE

「みる・きく・よむ・えがく」4つの島のことばの絵本展(前編)

2022.08.26
上平川国頭

「4つの島の絵本」とは?

7月11日から8月10日まで、

沖縄県那覇市のジュンク堂那覇店にて「みる・よむ・きく・えがく 4つの島のことばの絵本展」が開催されました。

 

「4つの島の絵本」とは、

 

・鹿児島県の沖永良部島のことば(しまむに)

・沖縄県多良間島のことば(たらまふつ)、

・沖縄県竹富島のことば(てーどぅんむに)、

・沖縄県与那国島のことば(どぅなんむい)

 

と、日本語訳+英語訳で、それぞれの島の昔話や創作物語を描いた絵本で、

 

2019年からクラウドファンディングで支援を募り、

2022年にひつじ書房から出版されました。

 

左から、沖永良部島の『塩一升の運』、多良間島の『カンナマルクールクの神』、竹富島の『星砂の話』、与那国島の『ディラブディ』

塩一升の運(ましゅ いっしゅーぬ くれー)

沖永良部島の『塩一升の運』は、

 

神様に「塩一升」の運と、「竹一本」の運を授けられた男女が、

夫婦になりながらも、やがて運命が分かれていく話で、

沖永良部島で古くから言い伝えられていたお話です。

 

絵本は、島内2つの集落の言葉が収録されており、

島内の方言差もうかがい知ることが出来ます。

カンナマルクールクの神

多良間島の『カンナマルクールクの神』は、

 

美しすぎる娘クールクに翻弄される若者たちと、

クールクの悲しい運命を描いた絵本で、

多良間島で古くから言い伝えられたお話です。

 

クールクの美しい描写、多良間島方言の難しい発音にも注目です。

星砂の話

竹富島の『星砂の話』は、

竹富島にある、星の形をした砂の由来を描いた昔話です。

 

星のお母さんが竹富島で出産をしたところ、海の神様の怒りに触れてしまい…。

 

竹富島では、今でもこの星砂に由来した神事があるそうです。

ディラブディ

与那国島の『ディラブディ』は、

 

お腹を空かせた子どもたちのために、

ディラブディ,ウデャマ,イサの3人が漁に出て、

360匹も魚を獲ってくるという、とても楽しいお話です。

 

与那国島の民謡を元に、

与那国幼稚園の與那覇悦子先生が幼稚園の方言劇にまとめました。

 

クラウドファンディングについての詳細はこちら

「大きいもの」って何?

4つのお話は、どれも島々に語り継がれたり、民謡として知られたストーリーでしたが、絵本という視覚媒体に落とし込むには、苦労もありました。

 

昔話の中には、視覚化しにくいものが沢山あります。

 

例えば、竹富島の『星砂の話』では

 

星の子どもたちを食べてしまう「いんなぬ ふーむぬ」(直訳:海の大きなもの)が登場しますが、「大きなもの」が一体何か?は、お話だけでは分かりません。

 

地域の方々のお話を聞くと、ウミヘビ、サメ、龍、大蛇などの説がありましたが、最終的には “龍” として描かれることになりました。

 

龍として描かれる「いんなぬ ふーむぬ」『星砂の話』12-13ページ

神様の性別は?

また、沖永良部島の『塩一升の運』では、

運命を授ける神様として「ニラの神様」が登場します。

 

ニラの神様は、初め、とても女性的な神様として描かれましたが、

 

島の民俗学者の先生から、ニライカナイの神は男性~中性的な存在と解釈すべきだと教えていただき、

 

イラストのバランスを取りながらも、より中性的な描写へと書き換えられました。

 

右上の「ニラの神様」はより中性的な描写へ『塩一升の運』P2-3

このように、伝承者から昔話を聞くだけでなく、

様々な地域の方への取材、島の文化・思想世界の理解など、

 

長い時間をかけて絵本のイラストレーションが出来上がりました。

 

この4つの絵本にちなんだ、原画展・トークショー・ワークショップ・演奏会が、

 

7月11日から8月10日まで、沖縄県那覇市のジュンク堂那覇店にて開催されましたので、

 

次回はその様子をお伝えします。

ことばの学び

LANGUAGE LESSON

ことばのワンポイントレッスンにトライしてみましょう! ランダムに表示される問題文に答えてください。

Let's try a one-point lesson on words!

Q.

沖縄県・宮古島の西原のことばで、「太陽」は何と言いますか?

What is the sun called in Nishihara-Ikema, Miyako Island?

ページトップへ