危機言語RPGとは?
この記事では、危機言語の継承に向けて何ができるか?を、ひとりひとりが具体的に、能動的に考えるための教材(危機言語RPG)について紹介します。
まずは、この教材が生まれた背景「危機言語」について、簡単に紹介します。
危機言語とは?
言語継承の「型」
それでは、危機言語はどうやって継承・復興することが出来るのでしょうか?
危機言語の継承・復興には、ヘブライ語やハワイ語など、幾つかの有名な成功事例があり、大きな道筋を示したFishman(1991)Reversing language shiftなどの言語復興理論もあります。
但し、実践レベルまで落とすと、すべての言語で辿れるような単純な「型」はありません。
なぜなら、危機言語が置かれた状況(国の言語政策、地域の人口流動、危機度、言語意識等)は地域ごとに異なり、解決すべき問題も地域ごとに異なるからです。
このような状況の中で必要なのは、型通りに物事を進めることではなく、「それぞれの地域の状況において、自分/自分たちなら何ができるのか」を考える能動的な営みだと考えます。
こうした問題意識をもとに、「危機言語の継承について、自分で考える」きっかけを作る教材を作ったので、紹介します。
「危機言語RPG」の概要
この教材では、架空の危機言語「アルトコロ語」を継承するために、割り振られたキャラクター(立場や年齢、職業など)に沿って、それぞれの立場で何が出来るかを考えます。
【進め方】
4~5人ほどのグループに分かれ、それぞれ自分の「キャラクター・カード」をひきます。そこに書かれているキャラクターが、参加者の皆さんの役割です。
もし”アルトコロ語”を継承するとしたら、「自分のキャラクターなら何ができるか?」「同じグループの人と、何が協力して出来そうか?」考えて、意見を交換してください。
最後に会場で、それぞれのグループで出た意見を共有します。
(PDFはページ下部にあります)
資料
①言語の概要
「アルトコロ語」の背景情報です。アルトコロ語の設定は架空であり、危機言語の状況は言語ごとに異なります。
ただし、アルトコロ語に詰められた情報は、日本の危機言語の「よくある状況」の一端を表しています。
例えば、
・表記法がないこと
・かつて地域言語の抑圧教育が行われていたこと
・地域言語に対する意識の変化
・「潜在話者(理解はできるけど話せない)」の存在
・地域に様々な出身地の方々がいること
この教材が、それぞれの地域言語のおかれた状況を調べるきっかけになればと思います。
(PDFはページ下部にあります)
②キャラクター・カード
ことばの継承をするためには「そのことばが話せなければいけない」と思いがちですが、必ずしもそういうわけではありません。
そのことばが話せない人も、よその地域から来た人も、何かしらできることはあり、またその人たちにしか出来ないこともあります。
キャラクター・カードを引いて一度それぞれの人から離れることで、新しいアイデアや意見交換が引き出しやすくなります。
(PDFはページ下部にあります)
利用された方の声
ご利用方法
授業や学習会において、危機言語について学んだり、考えるきっかけに、ぜひご利用ください。
もし使ってみたいという方は、下記からご自由にダウンロードください。
ご意見・ご感想がありましたら、こちらまでお寄せいただけましたら嬉しいです。