今ほどおもちゃやメディアもなかった昔。
子どもたちはどんな遊びをしていたのでしょうか?
今日は沖永良部島の話者さん(1946年生)に伺った、
昔の遊び&方言での呼び名を紹介します。
さみ(虫拳)
しまむにで「さみ」とは「虫拳(むしけん)」のこと。
人差し指が蛇、親指が蛙、小指がナメクジを現し、
蛇は蛙に勝ち、蛙はナメクジに勝ち、ナメクジは蛇に勝つ…
じゃんけんのような手遊びです。
虫拳は、平安時代の文献にも出てくる、
とても古い歴史を持った遊びだそうで、
1809年の『拳会角力図会』にも紹介されています。
『拳会角力図会』2巻24ページ
(国立国会図書館デジタルアーカイブ https://dl.ndl.go.jp/pid/2533879/1/24)
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「さみ」をするときは、
「しー、しー、しー」と掛け声を掛けながら、勝負したそうです。
話者さんが子供の時に、
当時のおじいちゃんたちが「さみ」をしていたそうで、
今「さみ」をする人はいないそうです。
ただ、じゃんけんの時に後出しをしたり、
何らかのズルをすることを「あつざみ」と言うなど、
いまも方言の中に「さみ」の名残が残っています。
【音声を聞いてみよう】
① 「さみ(虫拳)」
② 「しー しー しー」(「さみ」をする時の掛け声)
③「あつざみ」(じゃんけんにまつわるズル)
④「うら あつざみ しゃん」(お前、ズルしたな!)
おひたつ(お手玉)
「おひたつ」とはお手玉のこと。
女の子たちが、地面に三つか四つお手玉を置いて
一つの玉を 放り上げ、
それが落ちるまでに 一つ捕まえて…というのを、
ジャグラーみたいにやっていたそうです。
その時に、口ずさんでいたのが「♬おひたつ おとして おさらい」という歌。
言葉にあまり意味はない、遊び歌のようなものだと仰っていました。
【音声を聞いてみよう】
「おひたつ」(お手玉)
「♬おひたつ おとして おさらい」
ちゃっしゃー(おはじきの遊び)
昔は島にガラスで出来た玉がなかったので、
海やいろんな所から石を拾ってきたものを
「おはじき」のように使って遊んでいたそうです。
その遊びの1つが「ちゃっしゃー」。
こんな遊び方をします▽
①石を一掴み取ってから平らなところに バサッと落とす。
②すると、石は山形になってその周囲が散らばるので、
散らばった石と石の間に 指で線を引く。
※線を引いている時に、指が石に当ったらダメ
③線が引けたら、石をポンっと弾いて、別の区画にある石に当てる。
④石が当たったら、その石を取ることが出来る。
⑤最後にその石の数を数えて、多かった方が勝ち。
子供たちは、石に指が当たらないように小指を使ったり、
相手が取りにくいように山側におはじきを飛ばしたり、
知恵を絞って遊んでいたそうです。
【音声を聞いてみよう】
「ちゃっしゃー」
謎の唄「イチリトラ・・・」
話者さんも意味が分からない歌。
「イチリトラ、ラカゲトシ・・」と、
しりとりのようなこの歌は、
女の子たちが「毬つき」か何かをしながら歌っていたそう。
男の子たちはこういう遊びはしなかったそうです。
【音声を聞いてみよう】
「イチリトラ…」
皆さんが住む地域には、どんな「昔遊び」があるでしょうか?
ぜひおじいちゃん・おばあちゃんにインタビューしてみてください。