変わったヤドカリ
ある時、お世話になっている話者の方からこんな写真を見せられました。
これは何だかわかるでしょうか?
そう、貝を拾って被るヤドカリ。しまむにでは「アマム」と言います。
(撮影:佐々木隆さん、2018年8月13日)
でもこの「アマム」なんだか変です。一体何を被っているのでしょう?
横から見るとこんな感じ。
そう、このヤドカリ、瓶のフタを殻変わりに使っているのです。
それからこんな写真もありました。
今度は貝殻を被っています。でも、なんだか少し小さそうです。
横から見るとこんなふう。
本当だったら堅い殻で守るべき、
身体の柔らかいところが外に見えてしまっています。
なぜこんなことに?
なぜこんなことになっているのでしょう?
話者さんが言うには、
昔お子さん達と一緒にこの砂浜で貝拾いをした時は、
あたり一面に貝殻があって、トラックに積めるほどの貝殻があって、
こんなヤドカリもいなかったそうです。
でも、いまこの砂浜を歩くと貝殻は殆どなく、
いい貝殻がないので、”裸”で歩くヤドカリすらいるそうです。
砂浜の貝は、お土産品など用として、
大量に島外へ送られていくこともあるそうで、
話者さんは「貝殻不足で、ヤドカリがこうなってしまっているんではないか?」と
心配していました。
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言葉を追いかけていると、
不意に普段の自分の生活では見えないこと、
言葉以上に考えさせられることを教えてもらうことがあります。
瓶のアマムに、私達は何を思うでしょうか?
しまむにメモ
このお話の中で、話者さんには2つのしまむにを習いました。
①「アマム」:やどかり
②「アマンクイ」:ヤシガニ
ヤシガニは元々沖永良部島にはいない外来種なので、
「”アマム(ヤドカリ)”に似ている」という意味で
「アマンクイ」と付いたのかもしれない…ということでした。
写真:筆者が昔見つけたアマンクイ(ヤシガニ)。確かにアマム(ヤドカリ)と似ています。