
アイヌ語教室の野外活動
イランカラㇷ゚テ!(こんにちは!)
アイヌ語では動詞を使うごとにそれが誰の動作なのかを毎回示さなければならない、というルールがあります。例えば日本語では「私は食事して酒を飲む」あるいは、ただ単に「食事して酒を飲む。」とだけ言ったとしても、会話の状況から喋っている人が、食事をして飲酒するのだ、ということはわかります。これをアイヌ語で言うと、
クイペ ワ クイク。 「私は食事をしてお酒を飲む。」
ku=ipe wa ku=iku.
私は 食事する して 私は 飲酒する
ここで使われている動詞の
イペ ipe・食事する
にも、
イク iku・飲酒する
にも、私の動作である、ということを表す
ク ku=・私(が、は、の)
が付いています。この ク ku= のように動詞に付いて誰に関する動作かを示す要素を、人称接辞と読んでいます。ローマ字表記、ku= の = (イコール)は、辞書に載っている動詞の形(人称接辞を除いた形)がどこなのかが一目でわかるようにするための記号です。
例えばもしも、
クイペ ワ イク。 「私は食事して (彼は) お酒を飲む。」
ku=ipe wa iku.
私は 食事する して (彼は) 飲酒する
のように(イペ ipe には ク ku= を付け、イク iku には ク ku= を付けないで)言った場合、これは「私は食事して(彼は)お酒を飲む」ということになり、まったく違う意味になってしまします(人称接辞が付かない形は3人称の動作を表します)。このようにアイヌ語では、人称接辞が非常に重要な役割を担っています。
次に会話している相手も含めた「私たち」の動作を言い表す文です。
イペアン ワ イクアン。 「私たちは食事してお酒を飲む。」
ipe=an wa iku=an.
食事する 私たちは して 飲酒する 私たちは
前の文と比べると、人称接辞 ク ku=・私(が、は、の) が、
アン =an・私たち(が、は、も)
に変化しているのですが、なんとここでは、この人称接辞が動詞の後に来ています。人称接辞 アン =an・私たち(が、は、の)の場合は動詞の前ではなくて、後に付くという変化は、アイヌ語のとても不思議で面白い現象だと思います。
それではここからは、今までの用例を基に実用的なアイヌ語フレーズを紹介していきましょう。
イペアン ロー 「いただきます」
ipe=an ro
食事する 私たちは しよう
この表現は「私たちは食事をしましょう」で日本語の「いただきます」のように使えます。
ロー ro ・〜しよう
ロー・ro は、文末に付けて、「〜しましょう」と、何かを誘う時に使います。
イクアン ロー 「乾杯」
iku=an ro
飲酒する 私たちは しよう
こちらは、「私たちはお酒を飲みましょう」で日本語の「乾杯」のように使えます。
最後に、このコラムの締めくくりの言葉についても説明しておきましょう。
スイ ウヌカラン ロー 「またお会いしましょう」
suy unkar=an ro
再び お互いに会う 私たちは しよう
「再び私たちは会いましょう」で、これはまさに中国語の再見と同じですね。
ヤクン パㇰノ ネ。スイ ウヌカラン ロー!
(それではここまでです。またお会いしましょう!)
(関根健司)
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