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五十音表の「空き間」

2022.09.29
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五十音表は、10の子音(行)と5の母音(段)の組み合わせで整理されています。なるほど、10×5=50で「五十音」か、と思って数えてみると、実際には45しか文字はありません(「ん」を加えても46。ちなみに「ん」は子音と母音の組み合わせからなる音ではないため、表の中に位置づけることができません)。それは、ヤ行とワ行では特定の母音との組み合わせが存在せず、「空き」になっているためです。具体的に言うと、ヤ行にはイ段とエ段が、ワ行にはイ段とウ段とエ段が欠けています。

五十音図の「空き間」。ヤ行のイ段とワ行のウ段に当たる仮名は存在しない。

さらに言えば、ワ行のオ段(つまり「を」)は、文字としては存在するものの、現在では「お」と発音上の区別はなくなっています。ワ行のオ段に相当する音 [wo] は、現代では「ウォ」と表記され、「ウォーキング」などの外来語に現れることがあります。

また、ワ行のイ段音 [wi] とワ行のエ段音 [we] に相当する仮名もかつては存在していました(それぞれ「ゐ」「ゑ」と書きます)。しかしこれらの文字が使われることは現代では(特別な場面を除けば)ありません。ワ行のイ段音・エ段音を書き表したい場合、現代では「ウォ」のように小さい仮名を組み合わせることで、「ウィ」「ウェ」のように表記します。同じように、五十音表で欠けているヤ行のエ段音も、小さい仮名を組み合わせることで「イェ」のように書き表すことができます。これらの音も、「ウィング(wing)」「ウェザー(wether)」「イェール(Yale)」のように、やはり外来語に現れることがあります。

「イェ [ye]」「ウィ [wi]」「ウェ [we]」「ウォ [wo]」は、現代標準日本語にも発音として現れるものの、外来語に偏って現れる点で、他の仮名で表すことができる音とはやはり区別されるべき特殊な音と言えます。そしてヤ行のイ段とワ行のウ段に相当する音(イェやウォに倣えば、イィやウゥとでも表わせそうな音)は、外来語を含めても、日本語には存在しません。

ところが、沖縄の方言の中には、ヤ行のイ段に相当する音 [yi] やワ行のウ段に相当する音 [wu] がある方言があります。伊江島の方言はその1つです。

ヤ行のイ段音 [yi] はア行のイ段音「い」ととてもよく似ています。しかし2つの音ははっきりと区別できる別の音です。実際、伊江島の方言では、ii(いー) は「胃」を表しますが、yii(いぃー) は「絵」を表します。

2つの音を波形で見比べてみましょう。するとア行のイ段音は突然大きな波で開始されているのに対して、ヤ行のイ段音は小さな波から始まって次第に大きくなっていきます。この違いは「開始部の強さ」として聞き取ることができます。つまり、ア行のイ段音は立ち上がりからはっきりと強く聞き取れるのに対して、ヤ行のイ段音は立ち上がりから徐々に強くなっていきます。

ア行のイ段音「い」とヤ行のイ段音「いぃ」の違い。伊江島では2つの音をはっきりと区別している。

ワ行のウ段音 [wu] とア行のウ段音「ウ」もやはりよく似ていますが、やはり伊江島の方言では同じように区別されています。伊江島で uu(うー) と言えば「卯」を意味しますが、wuu(うぅー) は「緒(ひも)」を意味します。

ことばの学び

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Q.

沖縄県石垣島白保のことばで、「太陽」は何と言うでしょう?

What do you think is the sun called in Shiraho, Ishigaki.

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