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アイヌ語をカタカナで書く時の工夫

2025.11.16
アイヌ北海道
アイヌ語教室の様子

アイヌ語教室の様子

イランカラㇷ゚テ!(こんにちは!)

 

今回は、アイヌ語をカタカナで書く時の工夫についてお話します。

 

イランカラㇷ゚テ  irankarapte  こんにちは

 

 

「イランカラㇷ゚テ」は、日本語の「こんにちは」にあたる、現在もっとも広く使われているアイヌ語の挨拶言葉です。しかし、昔はかしこまった挨拶の時にだけ使われた、重々しい言葉だったそうです。現在のようなカジュアルな使い方は、近年の傾向だと言えます。

 

アイヌ語はカタカナでも、ローマ字でも不自由なく書き表せます。アイヌ語の母音は日本語と同じく、5つ(ア、イ、ウ、エ、オ)なので、アイヌ語は日本語話者にとっては、比較的発音しやすい言語­だと言えます。ただ、日本語にはない音もあるので、カタカナで書く時には工夫が必要です。

 

具体的には、日本語では小文字では書かない文字でも、アイヌ語では小文字にして書くことがあるのです。イランカラㇷ゚テの ㇷ゚ がまさにそれにあたります。これは、この ㇷ゚ が、日本語の プ とは音が違うので、わざと小文字にしているのです。

 

日本語の プ はローマ字で書くとpu で、 これで1つの音として成立しています。しかし、イランカラㇷ゚テ の ㇷ゚ は p という子音の要素だけなので、これだけでは音としては成立していません。ここは直前にある ラ(ra) という音とくっついた ラㇷ゚(rap)、これが1つの音です。

 

こういった最後が子音で終わる音「音節末の子音」は日本語には、ほとんど無いのですが、アイヌ語には沢山あります。そこで、アイヌ語カタカナ表記では、日本語にはないこのような音は小文字で書く、ということにしています。

 

こうすることによって、この小さく書いた文字は前の音にくっ付いているのですよ、日本語とは音が違うのですよ、ということが分かるようになります。こうした子­文字を使うことで、アイヌ語の音をより正確に表現することができるのです。

 

「イランカラㇷ゚テ」と同じように、カタカナ小文字表記にする音を含んだアイヌ語をいくつか紹介します。

 

ユカㇻ                 yūkar          英雄叙事詩

 

アㇻパ      arpa        行く

 

イタㇰ                 itak         言葉

 

チㇷ゚                     cip         舟

 

チㇱ       cis         泣く

 

カㇺ       kam        肉

 

ヤクン パㇰノ ネ。スイ ウヌカラン ロー!(それではここまでです。またお会いしましょう!)                           

              

 (関根健司)

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