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「ももたろーっちゅー なめーお つきた」-島の子どもたちが方言に親しめるように奔走する人たち

2026.09.27
新島

こんにちは。新島2回目の記事です。

 

今回のタイトルは、皆さんご存じの昔話「桃太郎」の一節を新島の方言に翻訳したものです。

 

 

 

いんじーと うんばーあ よろこんじな ももたろーっちゅー なめーお つきた

お爺さんと お婆さんは 喜んでね   桃太郎という    名前を  つけた

 

桃太郎は、だれもが子どもの頃に繰り返し聞く昔話ですよね。

 

いま、島の子どもたちが日常で方言を使うことはほとんどないですが、桃太郎のようにみんなが知っているお話を方言で読み聞かせすれば、方言に親しみを持ってくれる子が増えるのではないか……

 

そのように考えた新島の宮川清みさんと山本新さんは、9月から、保育園で方言による紙芝居の読み聞かせを始めることにしました。

 

私は記念すべき第1回に参加することができましたので、今回はその様子をレポートします。

 


新島村では、地域の伝統的な暮らしとことばの保存・継承のために、「昔の暮らしとことば研究会」というグループが活動しています。清みさんと新さんはそのメンバーで、日々、新島村の文化とことばの将来のために奔走しています。お二人は今年6月に沖永良部島の視察にも行きました。(その様子はこちらから)

 

お二人はもともと、方言の記録の活動に取り組んでいましたが、危機言語サミットや国語研での国際シンポジウムへの参加を通じて、いろいろな地域で自分たちのことばを次の世代に繋げようとしている人々の存在を知りました。そして、記録をするだけでは、ことばを継承することはできないと考えるようになったそうです。

 

 

2025年6月に開催された言語復興シナジーシンポジウムでの新島ポスター発表

 

 

また、昨年新島で行った意識調査や、活動を通じて出会った研究者の方々、他の地域で同じような活動に取り組む人々との交流を通して、島の子どもたちが幼いうちから、実際に自分の耳でことばを聞いて、声に出す機会をつくる必要性を強く感じるようになりました。

 

そうして思い立ったのが、保育園での方言読み聞かせでした。

 

清みさんは長い間保育園の先生をしていて、新さんは現役の小学校の先生です。二人とも、日頃から子どもたちに囲まれた生活をしています。方言での読み聞かせは、とても二人らしいアイデアでした。保育園の先生は、この提案を快く受け入れてくださったそうです。

 


読み聞かせ当日、お二人は部屋に入ったときから、方言で子どもたちに話しかけるように心がけます。まず、清みさんが子どもたちに聞きました。

 

 

 

いしらー にーじまの ことばー しっとぅー?

あなたたちは 新島の ことばは 知っている?

 

子どもたちからは、「わかんなーい」と返答。それも当然です。

 

いま、方言を流暢に話す人は、若くても50代~60代くらいです。さらに、子どもたちの親の世代では、お父さんかお母さんのどちらかが内地の人(島外の人)という家庭も多く、子どもの前で方言を日常的に話す親はほとんどいないと考えられます。

 

中には、「おじいちゃん、おばあちゃんは方言で話しかけてくるよ」という子も少なくありませんが、大抵、「でも何しゃべってるか全然わかんない」と続きます。

 

清みさんは「お話に出てくる『いんじー(お爺さん)』『うんばー(お婆さん)』だけでも覚えて帰ってね」と子どもたちに伝え、お話を始めます。

 


 

うんばー  よろこんでぃな ももー ひろってぃ けーった

お婆さんは 喜んでね    桃を  拾って   帰った

そーしたら いんじーが ひょー んーまそーな ももだじゃ

そうしたら お爺さんが ひょー 美味しそうな 桃じゃないか

そいじゃー わってぃ くーか

それでは  割って  食べるか

そのとたん

そのとたん

ももわ ひといでぃ ぱかっと わいちゃった

桃は  一人で   パカッと 割れちゃった

おぎゃー おぎゃー

オギャー オギャー

やー りっぱな おとこんこが ももん なかっから でぃてぃきたよ

やー 立派な  男の子が   桃の  中から   出てきたよ

いんじーと うんばーあ おーよろこびでぃ

お爺さんと お婆さんは 大喜びで

ももたろーってぃ なめーお つきた

桃太郎って    名前を  つけた

 

ところで、新島には、本村・若郷の二つの集落があり、ことばも違います。

清みさんは若郷方言の話者ですが、新さんは本村方言の話者なので、それぞれ別のクラスに別のことばで読み聞かせを行いました。

 

 

今度は新さんによる本村方言の読み聞かせです。

 

 

ももたろー ももたろー ちったー いんじーの てつだいお しろよ

桃太郎   桃太郎   少しは  おじいさんの 手伝いを しなよ

やまえ まきょー といー いっち こいよ

山に  薪を   取りに 行って きなよ

むらの ひとが ももたろーお よびー きた

村の  人が  桃太郎を   呼びに きた

そいじむ ももたろーわ ぐーぐー にちばっかい

それでも 桃太郎は   グーグー 寝てばっかり

つぎの ひ よびー きちむ ぐーぐー ぐーぐー

次の  日 呼びに 来ても グーグー グーグー

その つぎに よびに きちむ ぐーぐー ぐーぐー にちばっかい いう

その 次に  呼びに 来ても グーグー グーグー 寝てばっかり いる

ところが よっかめん なうと ぐあー でっかい あくびょー しち

ところが 四日目に  なると ぐあー 大きな  あくびを  して

やまい じかきた

山に  出かけた

そーしち でっかい きお かたい かついじ けーっち きた

そうして 大きな  木を 肩に  担いで  帰って  来た

 


子どもたちは、とても集中して静かにお話を聞いていました。終わってからも「もう一回これ読んで」「また来てね」と好評で、最後にはみんな揃って方言で「あいがとーよ(ありがとう)」とお二人に伝えていました。

 

また、先生方からも「おばあちゃんが話していたのを思い出して、懐かしくなった。」「久しぶりに新島のことばが聞けて嬉しくて嬉しくて」と反応がありました。

 

さらに嬉しいことに、数日後、ある保護者の方が、「子どもが家で『いんじー、うんばー』の話をしていたよ」と教えてくれたそうです。

 

このような草の根活動は、確かに島の子どもたちの日常に変化を与えるものになっているはずです。

私も、お二人のようにことばを通じてたくさんの人々の気持ちを繋いでいこうとする仲間と一緒に、これからも活動を進めて行ければと思います。

 

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

あとわ、ぎなぎな……

(新島本村方言で、お話の最後につける定型句です)

ことばの学び

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Q.

沖縄県・宮古島の西原のことばで、「太陽」は何と言いますか?

What is the sun called in Nishihara-Ikema, Miyako Island?

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